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醤油が眼に染みる。 [日々のこと]

 

湯気まで嬉しい♪ blog.jpg

 

 

 

 

転寝しているうちに正月は明けてゆき、連休も終わり、

ハッと気づけば、危惧したとおりに1月もはや半ば。 

 

そんなダレきった人間たちにカツを入れてやろうではないかっ!

と、ばかりにシベリアの将軍さまが大陸から日本列島へ

凍る風と大量の雪を豪快に送り込んでいる。

宴疲れの胃袋は、目覚めるどころか、ただ縮み上がるばかりだ。

 

途方に暮れた食欲をやさしくなだめてくれるのは、

鰹の香りを従えてゆらゆら立ち上る、白い湯気。

しみじみと胃袋に染み渡る醤油だしを満たした丼を抱え込み、

ふぅふぅ、熱い蕎麦をすすれば、

萎えた五臓六腑にじわりじわりと力が戻ってくる…気がする。

 

 

 

 正月の余禄 其の壱 blog.jpg

  

正月明けのキッチン、パントリーには祝い肴の名残がいくつか、

必ず転がっているもの。写真上の煮物も、そんな正月の余禄を活かした一品。

 

昨年末、京の都の祝い膳に欠かせない根菜、八つ頭を

さる方からたくさんいただいた。先週末、筑前煮の仕込みに使った残りを

京風の煮物に。濃い目の鰹・昆布だしに薄口醤油、みりんなどで

味を調え、加賀のがんも、生麩と炊き合わせた。

 

きめ細かく、ホクホク、ねっとりした八つ頭独特の食感が際立つ、

ちょっと上等なbabameshiは、まさに正月の余禄。

節操なく、いろんな味を食べつくした後で味わう、

醤油色した素材主義料理は眼に胃袋に、どこまでもやさしい。

 

*盛り付けに使ったうつわは、昨年末にかっぱ橋の骨董屋さんで見つけた

染付のなます(三平)皿。時代は…たぶん、明治・大正期くらいのもの。

煮物やおでん、お造りを一人分ずつ盛り付けるのに、なかなか、収まりがいい。

骨董ビギナーの収集アイテムのひとつになっているのも、なるほど、納得だ。

 

 

 

正月の余禄 其の弐.jpg

    

↑こちらも、正月の余禄中の余禄。

新年の祝い肴の定番、塩数の子の残りでつくる、

自家製の松前漬けである。

スルメと粘り気の強いガゴメ昆布、人参の細切りと

ちぎった数の子を、酒・醤油・酢などのタレに漬け込んだもの。

 

酒肴向きの一品に見えるが、炊き立てのご飯に載せて

ワシワシと頬張ると、格別。昆布のねっとり感、

数の子のぽりぽりとした食感、醤油の香りが三位一体となり、

ホカホカのご飯に絡まって…。 嗚呼!箸が、もうどうにも止まらない。 

 

  

 

 

 ************* おまけのちぃ散文 ***************

 

 

食べる合間に、まじめに「食べること」についても、考えてみた。

 

 

再婚生活  私のうつ闘病日記 (角川文庫)

再婚生活 私のうつ闘病日記 (角川文庫)

  • 作者: 山本 文緒
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2009/10/24
  • メディア: 文庫

 

 

見る人によっては、タイトルがへヴィに感じるかもしれない。

これは、「恋愛中毒」「きっと君は泣く」「プラナリア」などのベストセラーを次々と

世に送り出してきた直木賞作家、山本文緒さんのエッセイだ。

 

過去に雑誌に連載され、ハードカバーで発売。昨年秋にあらためて文庫化され、

新刊には収録されていないエピソードが追記されている。日記形式で綴られる日々のデキゴト、

暮らしから、彼女と家族、周りの人々がどのように病と向き合ったのか伝わってくる

その中で、嗚呼そうだったのか…と、さまざま、色々思うことはあったのだが、

読後、いつまでも印象に残ったのが、心の病と食との関わりだ。

 

心が健やかではない時には、

食への意欲(ひいてはそれは生きる意欲にもつながる)がなくなる。

もしくは、食の嗜好が不健全に偏ってくることが、全編を通して読むとよく分かる。

回復期に向かった彼女も、自分の心身の不調の根源は、食にあったと語っている。

 

良く食べることは、良く生きること。

 

単なるグルメではなく、良く生きるための食について、

これからも継続してさまざまな方向から考えてみたい。

一人の女性が心の病と向き合う姿が、人生の宿題を与えてくれた気がする。

 

 

*それにしても、最近、ちょっとテキストが長過ぎる? 

伝えたいことがたくさんあって、記事が気づくと巻紙化しています。

次回からはもう少し、さっくり、軽めに…修正します。

最後まで読んでくれて、ありがとうね (^ー^)ノ

 

  


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macha

>自家製の松前漬け

挑戦してみたい1品です!
いつものんだくれな私ですが、これは白飯でわしわし!
いきたいですねー!

「うつわびと」やっとで買いましたー!
ブログへリンク貼っても大丈夫でしょうか?
by macha (2010-01-13 16:19) 

MORIHANA

machaさん>こんにちはー。早々の一番乗り、ありがとうございます。
松前漬けの材料、実はスーパーなどの乾物コーナーにある
セットを使っています。添加物、化学調味料なしのタレもついています。
これって、北海道限定…? 昆布の佃煮、塩昆布でおなじみの
フジッコの製品なのですが。今度、探してみてください。青森(津軽)では
切干大根も加えて、つくっています。数の子なkれば、代わりにいいかも。

本のご購入とリンク、ありがとうございます。
末永く、可愛がってくださいね。

by MORIHANA (2010-01-13 16:29) 

お茶屋

お茶ではありますが・・・
同じ食を扱う物として、
日々様々なことを想い、
自問自答しております☆
by お茶屋 (2010-01-13 17:32) 

ひろころ

お野菜とがんもの炊き合せが美味しそう~♪
生麩も大好物♡ ただ焼いただけの蓬生麩がめっちゃうんまかったのだ!
美味しく食べられるって、それだけでシアワセな事ですよね。
心と身体が健全であるからこそ、楽しめるもの☆
食べたモノによってヒトは作られて行くのだと、最近しみじみ感じています。

先日のドキュメンタリー、録画しました!
この週末にでも見る予定(^^*) 教えてくれてありがとです(._.)φ
by ひろころ (2010-01-13 18:27) 

penny

写真は光ですね。凄く美味しそうです ^^
by penny (2010-01-13 18:45) 

(u_u)

うまそうですだ。食べたいですだ。
あつあつふうふうしたいですだ。
食を若干改めねば(・_・)
by (u_u) (2010-01-13 23:10) 

kontenten

ニシン蕎麦・・・出所不明な食物です^^;アセアセ
私が最初に見掛けたのは、中央高速『諏訪湖SA』
次は、京都の食堂・・・『京都名物』と書いてありました(><)
・・・真実は如何に・・・(^^)。
by kontenten (2010-01-13 23:11) 

kurako

「食」はとても大事なことですね。
安全で美味しいのはもちろん、加えて目でも楽しまないと☆
ほかほかのお蕎麦がとても美味しそうです^^
by kurako (2010-01-13 23:20) 

きむたこ

はふーん、どれも日本酒がすすみそーだ♡
by きむたこ (2010-01-13 23:26) 

たま

にしん蕎麦、いいですね、ふ~ふ~しながらいただきたいです。生麩のたいたのも、美味しそうです^^
いえ、いえ記事、長くないですよ。たのしみで読ませてもらってます。 山本 文緒さんのエッセイ、読んでみようかな
by たま (2010-01-13 23:48) 

green_leaves

なんだか身体がだるくて冷たくて、やる気の起きない日々、
そういえばスローフードではなく、お惣菜売り場や外食に
頼り始めたのは去年の11月位からでした!
MORIHANAさんを見習って見直さなければ!!!
by green_leaves (2010-01-13 23:55) 

八犬伝

うわぁああ
ニシンそば、とっても美味そうです。
腹へってきたなあ(^^ゞ
by 八犬伝 (2010-01-14 00:09) 

soichiro

こんな時間ですが、あったかいお蕎麦が食べたくなりました。
幸か不幸か、膝の上には黒猫ユキチャンがぐっすりと。
食の乱れは心の乱れ、って言いますよね。
「ちゃんと」食べる、ってだいじです。
by soichiro (2010-01-14 00:42) 

ふゆん

ニシンじゃないけど魚を蒲焼風のあまからく味付けしたものと
二日目のお雑煮がみょーにあっててしあわせだった♪
その時ニシンそばってあったなーって思い出して
それが一昨日なんだけどね ちょっとシンクロ♪
by ふゆん (2010-01-14 07:03) 

m*

さむ〜い風です。
お写真で温まろう
と、外を覗けば雪です
食べたくなります!
by m* (2010-01-14 08:31) 

空楽

昨日の雪がまだ残っている熊本です。
すべてに感謝して頂きたいと想っております。
by 空楽 (2010-01-14 09:09) 

green_blue_sky

ニシンそば、おいしいそう。

しょうが、つけてもよし、
しょうがをスライスをして食べてもいいですね(大汗)

千葉は晴れていますが、寒い。節分前後には平年どりに雪になりそう・・・
by green_blue_sky (2010-01-14 09:37) 

ナツパパ

どの料理も美味しそう、しかも本当に優しそうです。
寒いときには温かい料理、身も心も癒されます。
ココロに続く道は胃を通っている、とはフランスの文豪、Aデュマの言葉です。
そうかも知れないなあ、と思うことが、わたしの周りでのいくつかありました。

染付けの呉州、色合いが優しくてとても良いですね。
あまりきついキツ青色はちょっと...なんて思ってしまうんですよねえ。
by ナツパパ (2010-01-14 10:01) 

ねこじゃらん

私も恥ずかしながら、ちょっとした病になってから、
食生活を見直さなくてはならないと思っているところです。
(実は小さいながらも子宮筋腫もありまして(汗))
急に極端に切り替えることはできませんが、
とりあえず、根菜の消費量を増やしました。(笑)
食と心はつながっていて、心と体はつながっていますもんね。
私も良く食べて、良く生きていきたいです…。^_^

心が乱れているときに、食べること、料理、身の回りのことが、
煩雑になるのは本当ですね。
まあ、私の場合、煩雑なのは生来の正確な気もしますが。(爆)
by ねこじゃらん (2010-01-14 11:34) 

ikuko

山本 文緒さんのこの本、こないだチラと見かけて、
気になってたんです。
やっぱり、読んでみよう。。
by ikuko (2010-01-14 14:00) 

massa

寒い冬はお醤油味の温かいお出汁が身に染渡りほっとしますよね。
にしん蕎麦は京都名物ですが、にしんが捕れるそちらでも食べられるのですね。
関西人でないのに薄口醤油を使われているのは、さすがですね♪
今夜も主人は飲み会なので、温かいおうどんを作って
今日こそお正月疲れの胃と肝臓を休めてあげたいと思います。
by massa (2010-01-14 14:31) 

フサヲ

いちど投稿したのですが、やっぱり書き直させて下さい(^^;)
コメントを残したかったのですが、
現在のわたくしにとりまして「食」の問題は死活問題でありまして・・・(苦笑)
本人(私)の思い通り(単に私は栄養バランスのとれた食事を希望しているだけなのに・・・)に食事が出来ないことが果てしなくストレスです(涙)
by フサヲ (2010-01-14 14:36) 

そらまめ

こんばんは。
今朝はすごい雪でした。
あ、うちの辺だけですか?(笑)
こんな日はあったかいものが食べたいですよね~。
にしんそばを注文してもいいですか?(笑)
by そらまめ (2010-01-14 16:58) 

YASH

にしんそば、かな。
なぜか高校生くらいのときに凝りました。
京都が有名ということを知ったのもそのくらいの年でしたが、
ニシンは北海道なのになぜ京都??なんて(笑)
地理や歴史って好きだったんですが…。

八つ頭って最近まで知りませんでした。
千葉へツーリングに行ったとき、道の駅で見かけて
居合わせた某黒犬氏に聞いて初めて知りました。

日本は狭いようですが、「食」に関しては広いです。
by YASH (2010-01-14 22:20) 

MARI

いかにも暖まりそうなニシンそばが、心にしみます。
食べるものって、大事ですね。
代謝が悪いので、体を冷やす食べ物には注意を払って
みるものの、なかなか難しく。もっぱら生姜に頼っています。

昨日、待ちに待った「北海道のうつわびと」が届きました。(^^)
しっかり読み込んだ暁には、ブログで紹介させていただきたいと
思うのですが、大丈夫でしょうか?
by MARI (2010-01-15 00:12) 

花火師

にしんそば・・・大好物です。
その割には美味しいのにありつけなくて・・・おいらもエネルギーチャージしたいです。
by 花火師 (2010-01-15 00:39) 

Ranger

MORIHANA さん、そちらは大雪の被害とかはないですか

どれも美味しそうに撮れてて、生唾が沸いてきそうです^^
by Ranger (2010-01-15 09:33) 

ルッコラ

食って本当に大切…。
歳を重ねる毎にそれを身にしみて実感してます〜。
でもついつい手抜きにしちゃったりね…^^;
MORIHANAさんのところにくれば
丁寧につくられた季節のお料理や、
それをひきたてるステキな器…。
食欲がぐぐーっと引きあげられます♪
そして、なにか自分もやってみたくなるわけですが、
とりあえず、今日の夕飯何にしよう…(笑)
by ルッコラ (2010-01-16 13:30) 

MORIHANA

★たくさんのご訪問、nice&コメントをありがとうございます。

トップ写真の鰊蕎麦は、昨年末に京都のbarbieさんが
自分のお気に入りの都の味をあれこれ選んで送って
くれた年越しセット?に入っていた、やぐ羅さんのもの。
ツユは、ダシパックと返しが別立てなど、老舗のこだわりが
ぎゅーっと詰まった本場の味でした。

鰊蕎麦は、かつて北海道と関西を結んでいた交易船、北前船が
もたらした京名物。豊富に獲れていた北海道の鰊は、保存性の高い
身欠きにしんに加工され、船便で関西へ。海のない京都へ運ばれて、
手間隙かけて小骨の1本も残さない甘露煮に仕立てられ、
蕎麦に載せられた。かつて鰊などの海産物の積み出し港であった
江差で、近江商人の末裔である横山家のおばあさんから聞いた話です。
江差には多くの近江商人が移り住み、蝦夷の地に暮らしながら、
衣食住は都スタイルを貫き、京言葉で話す女将さん、奥方が大勢
住んでいたそうです。鰊蕎麦の由来を語る横山さんも、はんなりとした
京言葉を使う、素敵な老婦人でした。鰊蕎麦を食べるたび、
蝦夷からは遠い京の都が少し、近くに感じられます。
 
正しい食、良い食。これは個々人の価値観やライフスタイルによるもので、
どれが正解と言い切れるものはないのだと思います。
また、このあたりのお話はあらためて、少しずつ、
記事にしていけたらと考えています。

なかなか、個別にお返事できませんこと、お許しください。
また、このブログを通じてたくさんの方に「北海道のうつわびと」を
ご購入、ご紹介いただいていること、御礼申し上げます <m(__)m>
by MORIHANA (2010-01-16 14:57) 

engrid

思わず 鰊そばに目を奪われ、そのニシンが私が購入したものと同じ
お気に入りの品、お蕎麦は越前そばでしたてました
心と食は 密接に連動するのでしょうね
是非に読んでみたい本、食べることを楽しみたいです

八つ頭のねっとりした美味しさ、八百屋さんにとんでいきたくなりました
by engrid (2010-01-17 10:57) 

tromboneimai

初めまして。料理好きのjazzマンカメラマンです。
残った数の子を加えた松前漬け、めっぽう美味しそうですね。
頂いた数の子が大量に冷凍庫に残っているので、早速
作ってみます。どのお料理も写真も器も、とても洗練された
粋を感じさせてくれますね^^
またお邪魔させて頂きいます!
by tromboneimai (2010-01-17 12:28) 

デザイン屋

遅ればせながら、
本年もよろしくお願いいたします。
by デザイン屋 (2010-01-18 01:26) 

あおい君と佐藤君と宗男議員

自家製の松前漬けなんて、すごいですね~。
ニシンそばもおいしそう~。
MORIHANAさん、お料理もいいセンスしてます~。
ご主人がうらやましいです~。(笑)
by あおい君と佐藤君と宗男議員 (2010-01-18 02:50) 

カエル

いろーんなものを食べていると、心身共に元気でいられるというのは、
とっても納得できます。
以前の職場で、好き嫌いが多い友人がよく風邪引いていて、
そういうことなのかなーとうすうす感じてました。
自分でご飯を作るようになって、食材への興味関心がすごくでてきましたよ。
作ること、食べること、それに食卓を囲む仲間がいること。
大事にしたいです。
それにしても、おいしそうですね。
食べたいなぁ。
by カエル (2010-01-18 11:03) 

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