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田園的洗練 [旅の断片]

田園的洗練 blog.jpg

 

前田真三氏の写真で一躍全国区の観光スポットになった

北海道の真ん中、美瑛町。旭川から車で1時間ほどの長閑な田園のまちだ。

目の前に広がるのは両手を広げても収まりきらない十勝岳連峰の勇壮な山並み、

その足元にゆるゆると連なるパッチワーク模様の丘と防風林。

ヨーロッパの田舎を思わせる絶景は、朝から晩まで急峻な斜面に

張り付くようして働く農家の人々がつくりあげたもの。

丘の風にそよぐパッチワークの正体は、ジャガイモに小麦、豆類、ビートなど、

北海道を代表する農産物。フォトジェニックなまち、美瑛は野菜の王国でもある。

 

このレストラン(↑)は、そんな美瑛の知られざる実力を旅人に知ってもらおうと2年前に

地元の農協が開いた畑のショールーム「美瑛選果」の中にある。

特産のアスパラガスのフランス名をいただいた店の献立の主役は

野菜の目利きが選んだ品質本意の野菜たち。

  

6月から10月にかけてのシーズン中は丘の契約農家の畑で

レストラン専用の70種類もの野菜やハーブも育てられ、

厨房を預かるシェフ自ら、収穫に出かけている。

 

レストランをプロデュースしているのは、昨年の洞爺湖サミットで要人たちのもてなしを

影に日向に支えた札幌のフレンチの達人、中道博氏率いる料理人集団。

美瑛の厨房を任されているのは39歳の加藤千典シェフ。この店がオープンするまでは

サミット昼食会で会場となった真狩村のオーベルジュの厨房で働き、

レストラン専用の菜園の管理も行っていた。

 

 

塩釜ロースト・ポテト blog.jpg 

 

大地と生産者(農家)、料理人の熱く妥協なきセッション。

それが、野菜づくりにも通じる加藤シェフの目指す田園フレンチだ。

だからこそ、畑から厨房、食卓を最短時間で結び、

グルーヴィなライブ感を大切にしたいと語る。

 

それを実現するために、自ら畑へ足を運び、まさに今が食べ頃、

使い時という野菜だけを自らの目で見極め、収穫することにこだわる。

たとえ、休みがとれないハイシーズンに睡眠時間が3時間になったとしてもだ。 

朝一番に収穫した野菜たちは極力、その鮮度、素材感を壊さないように

最大限、味を足さず、手をかけ過ぎず、さっくりと調理される。

都会のきらびやかなフレンチを見慣れた目には、それは少し地味に映るだろう。

しかし、皿の上では確かに大地の旬が多種多彩なメロディを奏でている 。

 

↑の料理は、調理途中のように見えるかもしれない。

しかし、これもれっきとした一品料理。秋に収穫したジャガイモを雪の中で貯蔵し、

春の到来とともに冬の眠りから揺り起こした「雪ムロ越冬馬鈴薯」を使用。

低温でじっくりと貯蔵されたジャガイモは、眠った分だけ甘みが増して、濃密な味わい。

その旨さをダイレクトに味わってほしいと、皮付きのまま丸ごとオーブンでじっくりと塩釜焼きに。

熱々のジャガイモはル・クルーゼの鍋に盛り付けて、テーブルに供される。

 

季節によっては、小ぶりのたまねぎを丸ごと、じっくりとスープで煮込んで、

この鍋に入れたまま、サービスされることも。

大胆不敵、大胆素敵な一皿は、グルメに食傷した食客の度肝を抜くに違いない。

 

 

 

田園的主菜 blog.jpg

  

メイン料理にも、野菜の姿、形を生かした付け合わせがたっぷりと添えられる。

その多くは、味は抜群…だけれど、流通規格にはのれない

不ぞろいな野菜たち。大き過ぎたり、曲がっていたり、小さ過ぎたり。

程よい仕事でそれぞれのプロポーション、個性を際立たせ、

最強の脇役軍団を作り上げている。

素材の味わいをなにより大切に想う料理人、野菜にかかわる人々の愛情が、

自然体の料理に深い味わいを与えているのだ。

 

これからもし、美瑛のフォトジェニックな丘の風景を訪ねるなら、ぜひとも、

このレストランへ立ち寄って、彩り鮮やかな田園を舌のうえにのせてみてほしい。

土と風の香りが鼻腔をくすぐる、饒舌な一皿、一皿が

目には見えない美瑛の魅力を余すことなく語ってくれることだろう。

 

 

詳しくは下記HPで…。

http://www.bieisenka.jp/restaurant/index.html

 

 

 田園ダイニング blog.jpg

↑ガラス張りの店内は、洗練されたインテリアでまとめられ、

南仏か北欧のリゾートを訪ねたような気分に。

 

 

 

とある仕事で訪ねた店だが、本来のテキストでは語らない、語れない

…けれど、聞き置くにはもったいない話を、まるで仕事をするようにザクザクと

まとめてみた。ちょっと、いつもの記事とは趣が違う、かもしれないが、

ご笑覧いただければ、幸いだ。

 

その後のTENの話など、話はまだまだ尽きないけれど、

今日はこのへんでおしまいに。できる限り、また近いうちに。

 

ご訪問、ありがとうございます。明日も良い休日をお過ごしください。 

 

 


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コメント 30

green_blue_sky

おしゃれなお店。妥協しないシェフ?
大地の品物で美味しいものができるのはいいですね。
北海道行きたい。
桜が北上中、いよいよ北の大地に自然の色が華やかになりますね(^○^)
by green_blue_sky (2009-04-18 18:00) 

アスカーラ

おしゃれな雰囲気で、いいですねー@@
お食事も美味しそう。
まったりとゆったりとお食事を楽しめそうです。
by アスカーラ (2009-04-18 20:27) 

きむたこ

飾らないのに、センスあふれるお料理ですねー。
これは、食べてみたい。
明るい店内にシンプルでおいしいゴチソウと、
マリメッコの明るいプリントがよくあって。
このレストランとお料理のように、気取らないで、
シンプルなワンピースを着てちょっとだけおしゃれして行ってみたいなぁ〜。
by きむたこ (2009-04-18 20:38) 

manzo

なんというか、力の入れ加減・抜き加減が
とてもバランスよくて素晴らしいです。
来週末、蝦夷地へ行くんですが、ここまで
足を延ばせないだろうなぁ。残念。

by manzo (2009-04-18 20:49) 

ふじかわ

グラスきれいだねぇw
by ふじかわ (2009-04-18 22:53) 

ねこじゃらん

本日はあそこで飲み、ここで飲みしたんですが、、、
ああ、野菜食べたい。。
力強いやつ。。。(本能のままにレスしました(笑))
by ねこじゃらん (2009-04-18 23:21) 

harry

うむ、久々にMORIHANA節という感じで、いいですねー。カッコよい。
美瑛、泊まった後にテレビ番組で見たんですが、住んでいる人々が
自分達のまちを頑張ってより良くしようという意欲に溢れてるようでした。
そういうまちは、短い時間通り過ぎただけでも何か伝わるものがありますね。
また行こうと思ってます。
by harry (2009-04-18 23:41) 

中島茂信

手頃な価格帯で頑張っていますね。北海道へ行く機会があれば食べに行きたい。
by 中島茂信 (2009-04-18 23:57) 

花火師

センスいいですねー
おしゃれしていきたいね
by 花火師 (2009-04-19 01:09) 

ぱふ

すてきなお店ですねえ。うらやましい生き方というか。
by ぱふ (2009-04-19 01:38) 

Baldhead1010

美瑛に似た景色が延々と続くNZです。

永住は無理でもほんとに長期滞在を考えています。
by Baldhead1010 (2009-04-19 06:46) 

そらまめ

おはようございます。
美瑛に行かれてたんですね~・・・
じゃがいもも美味しそう♪
夏には美瑛にも行きたいなぁ・・・
by そらまめ (2009-04-19 09:16) 

さちぞう

おはようございます。
美瑛、以前に行ったことがあります。
陶芸作家さんの工房と訪ねたのですが、とてもいい雰囲気でした。
自然に囲まれた暮らし=おしゃれは我慢・・・というイメージが
ありましたが、美瑛なら自然も楽しみながら時にはおしゃれして
美味しい食事をいただけそうですね。
by さちぞう (2009-04-19 09:43) 

ナツパパ

美瑛では、確かドイツ料理のお店に行ったことがあり、そこも自家製の野菜で料理を作っていらした、
と記憶になります。
このお店も、華やかながら質実なお考えの料理で、美味しそうですね。

休日は、今日なんですがね、息子の友人30名でBBQです。
あはは...わたし焼き手、汗だくになりそうです。
by ナツパパ (2009-04-19 09:56) 

masiko

飲みたい!
by masiko (2009-04-19 10:58) 

rose-k

うはっ♪おいしそうでしゅ~(*^^*)
こだわりシェフの絶品料理、見てるだけでは辛いものがあります~(^^;
by rose-k (2009-04-19 14:08) 

rinco

美瑛は行きたいところのひとつです。
そこにこんなすてきなレストランがあるなら是非行かなければ〜!
by rinco (2009-04-19 14:14) 

ユキ

素敵です
本物が食べられる数少ないお店の一つなのですねっ
by ユキ (2009-04-19 15:13) 

八犬伝

雪の中で貯蔵したジャガイモですか
食べてみたいな。

私、ジャガイモには目がないのです。
by 八犬伝 (2009-04-19 16:23) 

てりー

ジャガイモの塩釜は初見です。きっと旨みが逃げずにおいしいものと察します。大根なんかも雪の中に入れておくとおいしくいただけますよね~。北海道の家の台所にはむろというのがあって、零下に近い場所でいろいろ重宝していたと記憶していますが今はどうなんでしょうか。
by てりー (2009-04-19 17:09) 

まぐろとわさび

おしゃれなお店!今度美瑛に行ったら行こうかな?
ちょっと高そうだけど頑張る^^
by まぐろとわさび (2009-04-19 17:30) 

axl-

グルーヴィなんて言葉聞いたのは、
なんとなくクリスタル以来だな(笑)

野菜は美味いね。最近は野菜ばっか食べてるよ。
なるべく地元産のやつね。

by axl- (2009-04-19 22:11) 

massa

北海道へ行ったらマッカリーナへ行きたいと思っていましたが
こちらもにも行ってみたくなりました。
生産者と料理人の愛情が込められた大地の恵みとってもおいしそうです♪
by massa (2009-04-20 20:21) 

甘党大王

素材の美味しさをシッカリと食べ手に伝えてくれそうな(>_<)♡お店ですね!
身体も心も健康に成りそうですヽ(^o^)丿
by 甘党大王 (2009-04-21 12:37) 

lotus☆

尽きぬ話も、こんなところでならいつまでもしていたい。ものですね^-^
by lotus☆ (2009-04-21 12:53) 

ヤヨ

行ってみたいなぁ、こんなお店。
野菜の甘さ、みずみずしさ、食感、風味、
とれたてならではの味たちが
お写真からも感じられるようです。
そのものの味たちを楽しみに
いつか訪れてみたいです。
by ヤヨ (2009-04-21 15:14) 

ピカデリー

じゃが芋の塩釜!
美味しそ~う*
スーパ-で買ってきた芋でも美味しく出来るかな。
by ピカデリー (2009-04-22 18:24) 

ルッコラ

ジャガイモの塩釜焼きって初めて見ました〜〜!
(思わずゴックンってしちゃいました^^)
メインのお料理を見ても
素材の味も姿も大切にされてるんだな〜って感じます。*^^*
野菜の本来の姿を楽しみながら食べられるって
素敵ですね〜^^
by ルッコラ (2009-04-23 07:47) 

zenjimaru

「前田真三」懐かしい名前です、はじめて富良野を知り、その地に憧れました
料理は空腹がなによりご馳走で、どんな食材より美味しいと思われますが・・・
素材の美味しさだけは都会と生産地では雲泥の差を感じます
昔、田舎で食べた野菜たちの美味さは忘れる事が出来ません
獲りたてのキュウリ、トマト、ナス、トウモロコシ、スイカ、などなど
本当に素材の味があることが分かりますね
by zenjimaru (2009-04-23 15:45) 

m-grace

北海道に住んで、一番好きになった街はやはり美瑛でした。
2年住んだぐらいじゃぁ「何も知らない」、も同然ですね^^;
行ってみたくなってしまいましたよ♪
素材の味で度肝を抜かれてみたいです☆
by m-grace (2009-04-23 16:08) 

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