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雪が降る夜は、熱々スープ [菜果生活]

 

雪の降る夜に blog.jpg

 

 

 

 

昨日、既に春めいて、梅がほころび始めた東京、大阪の街が雪で白く染まったという。

寒の戻りで芯から冷える日には、窓辺で踊る雪を眺めながら、スープを作ろう。

 

スライスした玉葱にバターを落とし、40分~1持間程度、

濃い飴色になるまでじっくりと弱火で炒める。

甘く香ばしい匂いがする炒め玉葱にコンソメスープ(チキン、またはビーフ)を

注いで、再び弱火でコトコト30分ほど。全体がとろりとしてきたら、

塩・胡椒で味を調えて、スープは完成だ。それを耐熱のうつわに注いで、

薄切りにしたバケットを1,2枚浮かべ、ナチュラルチーズをたっぷりと載せて、

180~200度に熱したオーブンまたは、オーブントースターへ投入。

チーズに目にも旨そうな焦げ目がついたら、素早くテーブルへ。

ふつふつと煮え立つスープが冷めないうちに、さぁ、召し上がれ。

 

玉葱の濃密な旨みと甘みが溶け出したスープをすっかり平らげる頃には、

冷えた身体も、心もホッカホカになっているはずだ。

 

トップ写真は、先日仕込んだ我が家のオニオングラタンスープ。

地元の農家さんが育てた「札幌黄」と呼ばれる玉葱を使用している。

9月下旬から年明けにかけて流通するこの札幌黄は、肉厚で甘みが強いのが特徴。

一般的な玉葱の糖度が9~10度に対して、札幌黄は13度にも達する。

さらに、熱を加えることでその甘さは一層増すといわれている。

 

日本の玉葱は、明治4年ごろに札幌に開かれた開拓使の試作場で栽培が始まった。

当時、札幌農学校(現・北海道大学の前身)に米国から赴任したウィリアム・ブルックス教授が

持参した玉葱の種、イエロー・グローブ・ダンバースを札幌の気候風土に合うように

改良したのが、札幌黄と呼ばれる品種だ。明治13年には札幌の東部で本格的に

栽培が行われるようになり、味の良さから海外へも輸出されていたという。

昭和50年代前半まで、北海道の玉葱の主流はこの札幌黄の系統だった。

しかし、大きさが不揃いで貯蔵性に難があり、病気にも弱かったため、より育てやすく

流通性の高い改良品種(F1)が開発され、次第に姿を消してしまった。

 

札幌のごく一部の栽培農家さんが、手間はかかるが札幌黄の味わいのよさを

後世に伝えたいと細々と自家採種を続け、その種を現在まで残し続けてきた。

近年、スローフードや地産地消の機運の高まりから、札幌の料理人たちが

伝統的在来種である札幌黄に注目。季節の食材として献立に盛んに使うようになった。

再び、スポットライト浴びた札幌黄は、2007年にイタリア・スローフード協会の

食の世界遺産「味の箱舟」にも登録され、近年はネット販売でも

発売から数日で完売になるほどの人気ぶりだという。

志高い生産者が守り続けた古きよき大地の恵みは、

100余年の時を越え、今なお、凍える食卓を温め続けてている。

 

 

 

コトコト煮込んで、熱々を blog.jpg 

 

写真上は、オニオングラタンスープを作った日の主菜。

炒めた札幌黄をたっぷり加えた牛挽肉のハンバーグを、香味野菜、

人参と一緒にデミグラスソースでコトコト煮込んだ、赤ワイン向きの一品だ。

 

 

 

 

 

やめられない、とまらない。 blog.jpg

 

写真上は、おまけの一枚。

 

粗挽き黒胡椒と粉チーズを混ぜた生地を香ばしく焼いた

自家製のグリッシーニ。小麦粉とベーキングパウダー、水、

少しのオリーブオイルと塩、砂糖を混ぜて、延ばし、オーブンで焼いただけの

とてもシンプルな粉料理だが、飽きのこない味わい。

胡椒の刺激と香り、チーズの旨みがあとをひき、えびせんのように

一度食べ始めたら、やめられない、とまらない…。

ちょっと病み付きになりそうな、マンマのおつまみだ。

 

 

 

 

 

スープ・オペラ (新潮文庫)

スープ・オペラ (新潮文庫)

  • 作者: 阿川 佐和子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2008/05/28
  • メディア: 文庫

 

  

スープをコトコト煮ながら、こんな1冊はいかが?

 

トーク番組の司会でみせる軽妙なおじさんさばきが

印象的な阿川佐和子さんの別の一面が垣間見られる長編小説。

冒頭に出てくるスープの仕込み風景の描写、さまざまなエピソードに

盛り込まれている食べものの描写が秀逸。作者の食いしん坊ぶりを

雄弁に語る一冊でもある。かなり頁数があるけれど、

軽快なストーリー展開で、スープが煮える間に読み終えてしまう。

 

雪の降る日は、こんな本を読みながら、家で温かな休日を、ぜひ。

 

 

 

 

 


nice!(68)  コメント(22) 
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コメント 22

sasasa

オニオングラタンスープ、身体が温まりそう(^_^)
しかも地元素材を使ってってところがまたいいなぁ・・・。

by sasasa (2011-02-12 11:06) 

ナツパパ

毎年十勝の親戚から頂くタマネギで、タマネギイタメを作ります。
一度に10個くらい使うでしょうか。
それでも冬の一月分を賄えません...家族一同、オニオングラタンスープ大好きなので。
タマネギイタメが少なくなると、妻が不安げにこちらを見るんですよね。
今冬は寒かったので、もう3回目になります。
by ナツパパ (2011-02-12 11:44) 

manzo

お腹空いた〜!
食事前には目の毒です(^_^;)
by manzo (2011-02-12 11:50) 

yann

札幌黄ですか、食べてみたいな^^
玉葱というと淡路島産が有名ですが、元は北海道からだったのですね。
近所に十勝豚丼の店ができたので、食べに行きました。
(もっとも肉は地元神奈川産、シロコロホルモンに代表されるようにこちらも
豚肉の産地なので)
30年近く前に帯広で食べた豚丼の味を思い出そうとしましたが、
思い出せず、味比べはできなかったですね(笑)
by yann (2011-02-12 12:03) 

green_blue_sky

昼時で、写真を見るとますますおなかが減ります。

何か急に自分が明るくなってしまい、どうしたんだろうと思うときがあります。
自分でも不思議。
by green_blue_sky (2011-02-12 12:03) 

Ranger

さぁ、召し上がれ・・・って 見るだけしか出来ませんやん^^;
いつもながら、美味しそうですねぇ
スープをコトコト  チャイニーズスープの曲 口ずさみながらかな^^

肉食派の僕は うんまそうなハンバーグもたまらん!!
最後のも、ビールに合いそうですね

しかし、見てるだけなのは一種の拷問だ!! ^^;
by Ranger (2011-02-12 12:30) 

ふゆん

↑隊長!気持ちわかるー!食べたいよねー

オニオングラタンスープうんまそう♪
パンこのあいだゆうてたやつだね♪
by ふゆん (2011-02-12 13:52) 

masiko

ワインが沢山飲めますね。

by masiko (2011-02-12 16:05) 

engrid

オニオングラタンスープ、しばらく。。。。やる気がふつふつ!
Twitterで紹介されて、本日本屋さんで購入
阿川嬢はエッセーと対談ばかりとの思い込みを
みごとに うっちゃられた感じ
お鍋のばんをしながら、ページをめくります
by engrid (2011-02-12 17:04) 

maki

チーズの焦げ目がたまらなーーーい
by maki (2011-02-12 20:12) 

サクラ

いっただっきま~~~~す♪
と、食べたいー(T_T)
by サクラ (2011-02-12 21:07) 

Bianca

こんにちは☆
ここのところ寒い日続きなので、熱々のスープやハンバーグを想像して
体が温まった気になりました。
阿川佐和子さん、サバサバしていてチャーミングな方ですよね。
週刊文春を読むとき、必ずこちらの対談にも目を通します!
by Bianca (2011-02-12 23:04) 

フサヲ

玉葱と伺うと、つい北見が想起されてしまったのですが、
先ずは札幌からだったのですね・・・ Σ(・ ・。)!
オニオングラタンスープ、美味しそうです( ^ ^)
自家製グリッシーニにも憧れます~(^ ^人)♪゛
by フサヲ (2011-02-12 23:29) 

harry

かりぽりしたいなぁ。。。
by harry (2011-02-13 00:29) 

kurako

体の芯から温まりそうなスープ♪
じっくりあめ色になるまで炒めるのが大事、と分かってはいても、
なかなかできません。
でもやっぱり時間をかけるとその分美味しいですよね。
お休みの日に作り溜めしておこうかな。

MORIHANAさんの食卓に、いつも憧れています(^.^)

by kurako (2011-02-13 07:54) 

mire3030

オニオングラタンスープ~~~☆
先日あるレシピを見て作ったんですが
そのレシピは7分しか玉ねぎを炒めません。。。
「飴色にならなくてもいいの??」って思ったけど
結局レシピ通り約7分にしてみました。
それだけでも甘みが出ていておいしかったけど
やっぱりちょっと違うかな~。。。と家族のコメント ^^;
しかもバケットがなかったので グラタンにならず・・・(笑)

玉ねぎ産地の淡路島の玉ねぎをたくさんいただいたので
MORIHANAさんレシピで作ってみます~♪
煮込みハンバーグもいいですね~ ^m^
by mire3030 (2011-02-14 12:17) 

lotus☆

寒い日に煮込みハンバーグが食べたくて
ずっと食べれないままでいる(u_u。)
それにしても、どれもうまそー♪

小川糸さんの本読み終わったよー。
あの人の本の余韻が好き♪も少ししたら送るねー!
by lotus☆ (2011-02-14 21:44) 

sazan

オニオンスープはあったまるニャア(=^・^=)
by sazan (2011-02-14 21:51) 

さ〜にん

おいしそう~♪
札幌黄って昔からある品種だったんですね。
最近生協でよく見かけるので新種かと思ってました。
by さ〜にん (2011-02-15 10:12) 

ピカデリー

昨日降った雪がちょっとだけ残っている神奈川です。
とても寒かった昨夜の夕飯、コレにすれば良かったです。
相当あったまりそう*
by ピカデリー (2011-02-15 15:18) 

massa

手間をかけて作られた札幌黄で手間をかけて作ったスープ、最高ですね。
温かくて、甘くて・・・冷めないうちにいただきたいです。
札幌黄、こっちでも売っているかな?今度探してみますね。
我家は今年に入ってから新玉ねぎばかり使っています。^^
by massa (2011-02-15 20:35) 

カエル

寒い日のオニオングラタンスープは格別ですね
前に教えていただいたオニオンの使い方。
そっか1時間くらいじっくり炒めるんですね。
やってみようかな。
by カエル (2011-02-20 00:02) 

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